病院で肘の関節に異常なしと言われたが、痛みが引かず来院された患者さんの1症例

今日は肘の痛みについてお話していきます。

目次

患者さんの状態

2か月前に物を持ち上げた時に痛みが走った。

それから、痛みが引かず1か月前に整形外科を受診。

レントゲンは異常なし。

筋をちがえたんだろうと診断され、シップとお薬を処方してもらい様子を見る事にした。

痛みが引かず、変化が見られないとのことで当院に来院。

筋をちがえた状態とはどういう状態かというと

筋肉が損傷した状態を言います。

しかし、筋肉が損傷していれば、1ヶ月経過すれば、損傷は治り痛みは引くはずですが

今回の患者さんは1ヶ月経過しても痛みは最初と変わらずに当院にお越しいただいている状態です。

肘が痛いというだけでも様々な状態が考えられます。

肘の症状の種類

①野球肘

②テニス肘

③肘部菅症候群

④胸郭出口症候群

⑤頚椎ヘルニア

などが代表的にあげられるものです。

野球肘やテニス肘などは、いわゆる使いすぎの状態を言います。

肘部菅症候群や胸郭出口症候群は神経の圧迫により、肘に痛みを出すもの。

頚椎ヘルニアは、肘へと向かう神経の元がヘルニアにより圧迫を受けて肘に痛みを出すもの。

なので、肘といえど、肘だけを見ても中々状態が変わることは少ないです。

痛みを出しているのは、筋肉の使いすぎによるものなのか?または、神経圧迫からくるものなのか?

この2つを見極めなければ、症状がズムーズに回復してくれません。

筋肉の使いすぎなのか?神経圧迫による痛みなのか?

今回の患者さんもテニスをやられているので、一見使いすぎによる筋肉の炎症で痛みを出していると考えられますよね?

しかし、使いすぎが理由なだけだったら、1ヶ月テニスを休んで様子を見ていたので、このテニスを休んでいる間に痛みは引いてくるはずです。

1ヶ月丸々テニスを休んでも少しも痛みが緩和していないということを考えたら、筋肉の使いすぎで痛みが出ているという可能性より

肘に繋がる神経が体のどこかで圧迫されているのでは?と考えられます。

そこで、検査を重点的に行いました。

検査で考えられた事

患者さんの状態を検査で確認すると様々な問題点がありました。

①肩が内側に入り込んで丸くなってしまっている

②姿勢が悪く、良い姿勢を取ろうとしても背骨が硬く伸ばせない

③肘の周辺の皮膚がガチガチに固まっている

④血流が悪く、手先が冷えている

という状態でした。

また、痛みを訴えている肘の部分の筋肉を私が押してもあまり痛くないと仰ってました。

しかし、筋肉は硬く、通常であれば押したら痛いであろうと計算して押して見ても、患者さんは全く痛くないと仰っていたのです。

この状態が考えられたのは、肩が丸く中に入り込んでいるのと、背骨が硬くなっている状態から、首から肘へと向かう神経や血管を圧迫されて、神経の通りが悪くなって、私が押しても痛みを感じにくい状態になっている可能性があると考えられます。

そして、神経の通りが悪い場合、たいていの場合血流も悪くなっているので手先は冷えます。

神経・血管の通りが悪くなれば、肘に繋がる部分の痛みを出しているのであろうと考えました。

施術経過

1回目施術後:痛みは多少減り、痛みの度合いは10→6に。腕を動かす事自体は大丈夫に

2回目来院時:テニス2か月ぶりにやってみたそうです。痛みは出たが軽めに行うことが出来た。

3回目来院時:テニスを全力でやることが出来た。痛みというより肘が気になる程度。

5回目来院時:日常生活支障はなし。テニス中の痛み、違和感もなし。テニス後少し重い感じがする程度。

今回の肘の痛みに対しては治療終了としました。

まず、神経の圧迫を解除していく為に、骨格矯正を行い神経・血管の通りをスムーズにするようにしました。

次に、鍼治療で肘の部分の筋肉の硬さを緩めていきました。

これを行なっていった結果、スムーズに今回は症状が回復に至りました。

見立てが重要

私は常に思うのですが

どのような施術の方法でも、患者さんの状態がどのような事が起きていて、どのような問題があり、何が痛みに繋がっているかを考えて見立てていく事が早く良くなる近道だと思っております。

しかし、この見立てが間違っていると、どんな良い施術の腕でも効果は出ないと思っております。

なので当院の施術はいたってシンプルです。

お身体全体を見て→問題がある所をチェックする→症状が出ている部分と問題がある所との因果関係を確認していく→施術をしてその見立てがあっているか、いないかを確認する→2回目来院時の状態をまたチェックして確認していく

この流れがサイクル的に回って施術を組み立てていきます。

見立てが間違っていなければ少しでも効果が出るはずなのです。

しかし、効果が全く出ないという事は見立てそのものが違うという事なのです。

まとめ

・肘の痛みは様々な種類がある

・筋肉の使いすぎか、神経の圧迫によるものか?

・筋肉の使いすぎなら、安静にしていれば回復するはず

・安静にして治らなければ、神経の圧迫が考えられる

・施術の腕も重要だが、もっと大事なのは何故その痛みが出ているかを見立てていく事

・見立てがしっかり出来れば、施術は至ってシンプル

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