いつもブログをご覧頂きありがとうございます。
今日は痛みについて説明をしていこうと思います。
患者さんに問診やお話を色々聞いていくと多くの方が仰られる事がありました。
それは
『何で急に痛くなったのか分からない』
『痛みって何で出るんですか?』
『今まで何ともなかったのに痛みが出てきた』
『痛みが出ているのに病院だと気にしすぎと言われた』
等の声を非常によく聞きます。
そもそも痛みって何か?という所からお話しします。
痛みとは?
1979年に国際疼痛学会 (International associations for Study of Pain) は、痛み(疼痛)を次のように定義している。
実際に何らかの組織損傷が起こったとき、または組織損傷を起こす可能性があるとき、あるいはそのような損傷の際に表現される、不快な感覚や不快な情動体験。
An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage.
組織の実質的な刺激は、物理的刺激、あるいはセロトニンやブラジキニンなどの疼痛物質による化学的な刺激であり、これを疼痛神経終末端が感知し、電気的なシグナルに変換し温痛覚求心経路である外側脊髄視床路を通過し、大脳の中心後回が痛みとして認識した結果が疼痛となる。
痛みを伝える末梢神経には「Aδ繊維」と「C繊維」の2つの神経繊維が知られている。例えば腕を叩いた時、始めの痛みはAδ繊維の伝導により、局在が明確な鋭い痛み(一次痛)が伝わる。その後、C繊維の伝導により、局在が不明確なじんじんとした痛み(二次痛)を感じる。これはAδ繊維の方がC繊維より伝導速度が速いためである。この現象から「痛みは二度感じる」と言われることがある。この遅い痛みであるC繊維を軽度かつ持続的刺激を行うと痒みが生じることが知られており、そのため、生理学的には痛みと痒みは同じ感覚とされたが、痒みは頭頂葉内側部の楔前部による独自のメカニズムで覚えられる[8]。
一方、定義からも分かるように、組織の実質的な損傷によるものでなくても、大脳が同様の不快な感覚上同体験をしたものであれば疼痛とされ、慢性的な痛みにおいては実質的な痛み以上に重要となる。
wikipediaより引用
医学用語では痛みを疼痛と呼びます。
痛みは、末梢神経が刺激を受けて、脳に信号を送り、痛みを認知する仕組みとなっております。
また、何かしらの不快な感情や状況でも脳が痛みとして認識してしまう事もあると、記載されています。
つまり、痛みというのは外部からの刺激や、不快な感情などでも、発生するという事なのです。
痛みが発生する場所とは?
先ほどの痛みとは?の所で、疼痛は神経を介して、脳に信号を送り痛みを感知すると説明がありましたが
体の中に、この痛みを感知するセンサーが4つあります。
①皮膚(真皮)
②筋膜
③関節包
④骨膜
この4つに物理的な刺激や、化学的な刺激が与えられると、痛みの信号を脳に送り痛みとして感知します。
痛みが出る状態とは?
①~④がどのような状態になると痛みが出てしまうのか?
①皮膚(真皮)
皮膚はぶつかったり、擦り傷だったりすると勿論痛みが出ますよね?
皮膚の感覚受容器にはいくつかの種類がありますが、皮膚の感覚の受容器の多くは、皮膚の真皮にあります。
この皮膚の真皮という部分に痛覚をはじめ、温覚、冷覚、触覚や圧覚などを感じ取ります。
なので、皮膚がパンパンに張っていたり、硬くなっている状態でも感覚受容器に刺激を与え、痛みを感じ取っています。
②筋膜
筋膜は、筋肉を覆っている膜の事なのですが、この膜が縮こまっている状態で硬くなってしまったり、筋膜周辺の組織と癒着という状況に陥ってしまうと痛みが発生しやすくなります。
筋膜には感覚受容器(いわゆる痛みを感じ取るセンサー)が豊富にあります。
筋膜が硬くなる・癒着している状態だとこの感覚受容器を刺激して痛みが出る仕組みとなっております。
③関節包
関節包は、関節を包んでいる組織なのですが、様々な役割があります。
関節が外れないようにする、関節を細菌やウイルスから守る、関節がどの位曲がっているか脊髄に教えている、関節周りの筋肉の動きを脊髄に教えている、関節の異常を痛みとして大脳に教えている。
などの役割があります。
つまり、関節包が関節の異常を痛みとして知らせてくれているのです。
④骨膜
骨膜は骨を覆っている膜の事です。血管と神経が豊富に存在しています。骨膜の中には骨を作る細胞があり、骨の保護や再生などの役割があります。
骨膜が損傷を受けると、いわゆるヒビや骨折なので、勿論痛みが発生してしまいます。
このように痛みを感じ取るセンサーの部分に異常が生じると痛みとして発生してしまうのです。
痛みが出ている場所が原因で無いことが多い
最近は様々な治療院で、痛みが出ている所が問題ではなく、骨盤だ、筋膜だ、頭蓋骨の歪みだなど様々な事が言われております。
どれも間違いではなく正解だと思います。
しかし、患者さん自身は???な事が多いと思います。
当院でも痛みが出ている部分だけが原因ではなく、筋膜や姿勢の崩れ、骨のズレなどが原因になっていると推測しております。
でも、患者さん自身は痛めている所に問題があると思ってしまいますよね。
私なりの見解ですが、術者側の意見も患者さん側の意見もどちらも正解だと思っております。
先ほどの痛みが出る状態とは?で説明した通り、痛みを感じ取るセンサーは4つの場所に豊富にあると説明しました。
この4つに異常が起きている事で痛みとして認識されるのです。
なので、患者さんが訴えてる部分の①皮膚(真皮)②筋膜③関節包④骨膜のどれかに異常が起きているという事は事実だという事が言えます。
ただ、何故①皮膚(真皮)②筋膜③関節包の骨膜以外の部分に負担がかかっているかを見ていかなければなりません。
※骨膜は骨折系なので、今回は除外して説明をします。
上記3つの部分に単純に使いすぎだったり、ぶつけた、捻ったなどの外的な要因があれば別なのですが
ほとんどの患者さんが別に使いすぎたり、ぶつけた、捻ったなどの記憶が無い方がほとんどです。
使いすぎたり、捻ったりもしていないのに、何故皮膚、筋膜、関節包に異常が出てしまうのか?
これには、私が考えている範囲でも様々な理由が存在していると思っております。
①食生活に問題がある
②姿勢の崩れがある
③骨のズレがある
④運動不足
⑤睡眠の質が悪い
などが上げられます。
①食生活に問題がある
これは栄養価などの細かい所の話では無く、保存料や農薬、化学調味料、糖質、食品添加物などの摂取量の問題です。
日本の国産のものであれば安心というイメージがあると思いますが、国産だからといって安心できるレベルではありません。
あるデータによると、日本の食品添加物の摂取量は海外と比べても群を抜いて高いと言われております。
食品添加物の影響は今インターネットで調べればすぐに出てくると思います。
②姿勢の崩れがある
姿勢が崩れてしまうと、筋膜や皮膚、関節包に影響を及ぼしてしまいます。
皮膚、筋膜は例えると全身タイツのような感じです。
姿勢が猫背になると、お腹の部分の所にしわが集まると思います。
このしわの部分の所に皮膚や筋膜が癒着という状態に陥り、筋肉や関節の動きを悪くしていってしまいます。
筋肉や関節の動きが悪くなると、次に関節包が固まっていってしまいます。
そうなると、皮膚、筋膜、関節包に異常が発生して、痛みとして認知されやすくなってしまいます。
③骨のズレがある
骨のズレがある状態だと、骨の横から出る神経や血管を圧迫してしまいます。
皮膚や筋膜、関節包に繫がる元の神経や血管を圧迫してしまうことで、異常が起こりやすい状態に陥ってしまいます。
④運動不足
現代社会ではデスクワーク、パソコンが非常に多くなってきていると思います。
つまり、座っている時間が長くなってしまって、動くことが極端に減ってきている状況です。
人間は本来、狩りや漁を行い、生活をしていたので、昔の方々は腰痛や肩こりなどは無かったといわれております。
動かない生活が多くなってきている為、腰痛や肩こりは現代病とも言われているのです。
動かない事が多くなってしまうと、血液の循環は滞りやすくなっていきますので、皮膚、筋膜、関節包は固まりやすくなるのは言うまでもありません。
⑤睡眠の質が悪い
人間は自然治癒力という機能が備わっております。
これは、寝ている間に異常が起きている箇所を修復してくれる素晴らしい人間の機能なのですが
睡眠が充分に取れていなかったり、夜中目が覚めてしまう状態が続くと、自然治癒力が働きづらくなってしまいます。
そのような状況だと、疲労などを溜め込みやすくなり、皮膚、筋膜、関節包に異常が起こりやすい状況を作ってしまうのです。
上記5つが、痛みが発生している人の特徴で多い傾向にあります。
特に②姿勢の崩れ③骨のズレに関して、患者さんの実例を含めて説明していくと
肩が痛くて来院された患者さんのお体をチェックすると、肩もガチガチに固まっていて、肩を上げるのも辛い状況でした。
肩周辺の皮膚や筋膜、関節包を施術すると来院された時よりも痛みは半減しました。
でも、腕を上げる時の痛みは中々変化が出ない状態でした。
そこで、再度お体をチェックすると、腰周りの筋肉がガチガチに固まっていました。
腰周りの施術をして、肩を上げて貰うと、痛みは無くなり、肩の固さも大分減っていました。
これは、姿勢が悪く、骨盤周りの骨のズレが著明な状態で、肩が内側に巻き込まれていた為に、結果的に肩に負担がかかってしまい痛みが出ていたと推測されます。
つまり、痛みが出ているのは場所に異常があるのも事実だが、その痛みを出しやすい状態を作りだしてしまっている姿勢の崩れや骨のズレがあるのも事実なのです。
痛い所と、痛みを出している要因、この2つをしっかりと確認していくことが大切かと私は思います。
まとめ
・痛みは皮膚(真皮)、筋膜、関節包に異常が出ていることで認識する事が多い
・痛みが出ている部分に問題もあるが、痛みが出やすい状態を作り出している要因を見つけることが大切
・姿勢の崩れと骨のズレは痛みを引き起こし易くする要因
今回、とても長文になりましたが、痛みというのはまだまだ奥が深い現象です。
また、患者さんからの質問などを、ブログで回答させて頂きますので、皆様もご相談やご質問などありましたらお気軽のご連絡下さい。
鍼灸整体サロン温春健心
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